「母の家を売るだけ」のはずが…境界の筆ずれと相続人8人、1年かけて売れた宮古島の実家

宮古島にある相続した実家の不動産を売却した成功事例のイメージ画像

「母の家を売りたいんです。空き家になっていて、もう使わないから。」

そう始まった相談でした。

実家のある場所は沖縄・宮古島。
三重県四日市市にお住まいのT様からのご相談でした。

最初はすぐに売れると思っていたその家。
しかし、境界の確認をきっかけに、「筆ずれ」「他人名義の土地占有」「相続登記未了」など、
次々と問題が明らかに――。

結果的に、契約から売却完了までにかかった時間は1年以上。
それでも、最後にはしっかりと「次の持ち主」へバトンを渡すことができました。

このブログでは、そんな「複雑な売却」を丁寧に乗り越えた記録をご紹介します。

目次

宮古島の実家を売却したいというご相談

T様からのご相談は、「母が住んでいた実家を売りたい」というものでした。
場所は沖縄県宮古島市。
ご本人は四日市市在住で、何度も現地に通うことが難しい状況でした。

「台風で屋根が傷んでしまっていて…」「ご近所にも迷惑がかかりそうなので…」
早く手放したいというお気持ちもあり、私たちコウセイマネジメントで専任媒介契約を結び、現地の不動産業者と協力して売却活動を開始しました。

市況は追い風。すぐに買付が入るも…

当時の宮古島は、リゾート開発や観光客の増加で、不動産需要が活発な時期。
販売開始後、何組かの問い合わせがあり、最終的に神奈川県の法人(リフォーム会社)から買付が入りました。

「自社でリフォームして社宅や保養所として利用したい」とのこと。
T様もホッとされた様子で、「すぐに決まりそうですね」と話していた矢先――
現地測量の結果、思いもよらない事実が明らかになりました。

「売るつもりの土地」が、母の名義ではなかった!?

境界立会いと測量の結果、建物の敷地の一部が、実は「隣接する筆(地番)の土地に跨っている(筆ずれ)」ことが判明しました。

「えっ? そこはうちの土地じゃないんですか?」

確認してみると、その筆は第三者名義の土地であり、売主の母が長年占有していたことがわかりました。
庭の一部・塀・建物もその範囲にかかっていたのです。

さらに、その第三者はすでに亡くなっており、戸籍を調査した結果――

相続人は全国に8名。
しかも、売却を進めるにはその相続人全員からの実印と印鑑証明書が必要でした。

すべての相続人と交渉し、筆ずれ地を正式に取得

私たちは司法書士・測量士・現地の不動産業者と連携しながら、相続人の連絡先を何とか突き止めて、皆さんに対し丁寧に文書を送り、電話で事情を説明。
「母が長年使っていたこと」「売却に支障が出ていること」などを誠実に伝えた結果――
半年以上かけて、すべての相続人から承諾を得ることができました。

そして、筆ずれ部分の土地をT様名義に登記し、ようやく「売れる状態」に整えることができたのです。

コロナ禍での市況変化、そして待ってくれた買主様

しかし、ここでまた試練が訪れます。
2020年、コロナ禍が始まり、観光地である宮古島の不動産市場は一気に冷え込みました。

「購入は見送ります」となることも覚悟していましたが、買主様は、「長く見ている物件だから」「状況は理解している」と、なんと1年もの間、契約を待ってくれたのです。

ようやく迎えた引き渡しの日

筆ずれの解消、相続登記、測量、価格調整、売主と買主双方の調整を経て――
1年越しに、無事に所有権移転が完了しました。

売主T様は、

「最初はすぐ売れると思っていました。まさかここまで手続きがあるとは。
でも、これで母の家も安心して引き渡せました。」とお話しくださいました。

そして…宮古島に行くことは、ありませんでした。(宅建士の私として)

「契約が決まったら、一度は宮古島に行ってみよう」

実はそう思っていたのは――私自身でした。

境界確認に始まり、相続人探し、契約書の調整、測量、登記…
この案件に深く関わってきた私にとっても、
“その土地がどんな空気の中にあるのか”を、自分の目で確かめたいという想いがありました。

ですが、
契約書のやり取りは郵送で、署名押印は買主仲介業者を通じて、引渡しも振込で完了。
買主様とも一度も会うことなく、取引は終わりました。

結局、私自身も宮古島へ行くことはありませんでした。

「まあ、そんなもんですね。現実の不動産取引って。」

少し寂しさもありましたが、
でも――最後に“無事に終わった”という安堵のほうが、大きかったです。

まとめ:遠方の相続不動産は、早めの相談が何よりも大切です

この経験から強く感じたことがあります。
それは――「遠方の相続物件こそ、放置せず、できるだけ早めに調査と相談をすることが大切」だということです。

特に地方や離島の物件では、

  • 境界や登記の不一致
  • 相続未了による名義の問題
  • 現地の業者との連携体制の有無

など、後から発覚して困ることがたくさんあります。

不安を感じたら、まずはお気軽にご相談ください

私たちコウセイマネジメントは、四日市を拠点にしながら、全国の不動産売却に携わってきました。

どんなに難しい案件でも、「一緒に考える」ことから始めます。

お問い合わせ・ご相談

お気軽にお問い合わせください。

059-325-7773

営業時間 9:00~18:00

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

松本のアバター 松本 コンサルタント

私は、不動産取引のオールラウンドプレイヤーとして40年にわたり、売買や賃貸借の仲介、管理、開発、土地活用などに携わってきました。
不動産に関わるお困りごとやトラブルなど、お気軽にご相談ください。

目次