遺言の効力

遺言の基本
遺言とは、人の生前における最後の意志、その死後、法律的に保護し実現させるための制度で、満15歳以上で正常な判断能力を有する人であれば、誰でも行うことがきます。
法的に有効な遺言書がある場合には、協議分割成立以外は、相続人はその遺言書に従わなくてはなりません。
民法では、次の4種類を遺言できる事柄として定めています。
財産処分に関すること | 財産の処分(遺贈する人や団体の指定)、財団法人設立のための寄付行為の指定、遺産運用を信託する旨の指定など |
身分に関すること | 未成年者の後見人の指定、婚姻外で生まれた子の認知に関することなど |
相続に関すること | 相続分の指定、特別受益者の相続分、遺産分割の方法、相続人の廃除やその取り消し、5年以内の遺産分割の禁止、祭祀継承者の指定など |
遺言の執行に関すること | 遺言執行者の指定とその委託 (遺言執行者とは、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な行為をする者で、相続人や利害関係者はすることはできない) |
たとえ遺言書に残しておいても、次の事柄は法的拘束力はありません。
➀相続人の結婚・離婚に関する指定
➁養子縁組に関する指定(生前でなければ無効)
③遺体解剖・臓器移植に関すること(遺族の同意が必要)
被相続人が生きているうちは、いつでも有効に遺言を取り消すことや変更することができます。
遺言の方法
民法で認められた遺言の方法は、普通方式と特別方式に分けられています。
特別方式とは、死期が間近に迫っている時・伝染病で隔離されている時・海での遭難で死亡の危機が迫っている時などに行われる遺言で、
➀一般隔絶地遺言
➁船舶隔絶地遺言
③一般危急時遺言
④難船危急時遺言
があります。
一般の遺言は普通方式で行われます。
普通方式には、
➀自筆証書遺言
➁公正証書遺言
③秘密証書遺言
の3種類があり、それらの特徴は次のとおりです。
公正証書遺言 | 自筆証書遺言 | 秘密証書遺言 | |
方法 | 本人と立会人2人が公証人役場に行き、遺言書を作成する。病気でいけない場合は、公証人が自宅に来てくれる | 自分で遺言書を書き、氏名・日付記入したうえで押印する (用紙の種類・大きさ・筆記具は自由) |
本人が遺言書を作成して、公証人役場で証明してもらう (用紙の種類・大きさ・筆記具は自由) |
日付 | 年月日まで入れる | 年月日まで入れる | 年月日まで入れる |
書く人 | 公証人 | 本人 (全て自筆であること) |
本人が望ましい (代筆やワープロでも可) |
証人 | 2人以上必要 (未成年者や推定相続人等、一定の者は証人にはなれない) |
不要 | 公証人1人、証人2人 (未成年者や推定相続人等、一定の者は証人にはなれない) |
証明押印 | 本人、公証人、証人 | 本人 | 本人、公証人、証人 |
印鑑 | 本人/実印 証人/実印・認印どちらも可 |
実印・認印どちらも可 | 本人/遺言書に押印したのと同じ判で封印 証人/実印・認印どちらも可 |
開封の仕方 | 遺言書は遺族が確認した時点で開封できる | 遺言書を発見してもすぐに開封できず、家庭裁判所の検認が必要 | 同左 |
保管法 | 原本を20年間 公証人役場に保管 |
自分で保管 | 同左 |
費用 | 公証人手数料 | 特になし | 同左 |
長所 | ●遺言の存在と内容が確認できる ●自分で保管する必要がない ●自分で書けない人でも遺言書が残せる ●家庭裁判所での検認が不要 |
●簡単に作成できる ●遺言内容の秘密が保てる |
●遺言の存在が明確にできる ●遺言内容の秘密が保てる ●自分で書けない人でも代筆により遺言書が残せる |
短所 | 〇遺言内容の秘密が保ちにくい 〇公証人への手数料が必要 |
〇紛失のおそれがある |
〇紛失のおそれがある 〇書き方に不備があると、のちのち紛争が起こるおそれもある 〇公証人への手数料が必要 〇代筆の場合は秘密が保ちにくい 〇家庭裁判所での検認が必要 |
お気軽にお問い合わせください。059-325-7773受付時間 9:00-19:00 [日・祝日除く ]
お問い合わせ お気軽にお問い合わせください。